2012-01-01から1年間の記事一覧

伊井直行『会社員とは何者か?ー会社員小説をめぐって』中間報告

伊井直行『会社員とは何者か?ー会社員小説をめぐって』中間報告 やっと連載が終わって、単行本として出版されたのを機会にもういちど読み返して、書評を書こうとしたが、やはり連載時の時と同じところで行き止まってしまった。それは庄野潤三の『プールサイ…

夢を作品化に使った短い歴史第一回夏目漱石『夢十夜』

夢を作品化に使った短い歴史 まえがき 日本近代文学夢小史なるものを構想していたが、あまりに風呂敷を広げすぎて書けるはずもないとあきらめ、夢をそのまま作品に使った小さな歴史なら数回で書けるかもしれないと思い思考してみた。あくまで自分の書く理論…

ピエール・ルジャンドル『西洋をエンジン・テストする』

ピエール・ルジャンドル『西洋をエンジン・テストする』 やっと読み終えたがほとんど分からず。分からずといっても、佐々木中『夜戦と永遠』で読んだはじめての出会いというほどのことでもないが、中味はほとんど入ってこない。ただし西洋のそれも西方のキリ…

円城塔『道化師の蝶』

日付をみるとほぼ一ヶ月前に書いたことになる。うっかり忘れていた。今読み返してみると、なんだかテニオハがおかしい。でもスラーッと読み飛ばさないためにもそのままとした。以下 円城塔『道化師の蝶』 「群像」に掲載された作品を読んだ。芥川賞をもらっ…

橋下徹・堺屋太一『体制維新‐大阪都』を読んだ

橋下徹・堺屋太一『体制維新‐大阪都』を読んだ 堺屋太一の文脈では、大阪を復活するには人事やちょっとした手直しではダメで体制を変える以外にないというものだ。それが大阪都構想につながっている。また、これは大阪ひとつだけの問題ではなく、日本全体が…

スマホからiモードへ戻る

スマートフォン(ギャラクシー)からiモードケータイへ戻った。 田中宇の言うように、新たな諜報機関としてのアンドロイドの危険性 についておびえたからでもなく、朝日新聞が伝えていた個人情報が 流失することに危惧したからでもない。 要は一日スマホに…

古井由吉の作品に現れたサラリーマン像について

古井由吉の作品に現れたサラリーマン像について 古井由吉の作品を通過した後で、何か古井由吉論なるものを書けるはずもなく、ただ望洋として、焦点化することはむつかしい。 自分の側に引き寄せて「私は古井由吉をこのように読んだ」ということだとしても、…

なぜカフカが重要なのか

なぜカフカが重要なのか ずっとカフカだった。若い頃から三十年以上になる。さすがに若い頃とは意味合いが違ってきたが、今もずっとカフカだ。 かつて、吉本隆明がいい作品とはどういうものかということに答えて、百人が百人まわりの人々がいい作品だという…

リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』

リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』 女友達より読んでみないかと紹介された一冊を手に取ってみた。いつもはそれとはすぐに手をださないのだが、どう間違ったのか手を出してしまった。読み進むうちに、これは新手の手法だと感づいた。短編小説とあ…

小の説へと心が向かっていないときは

小の説へと心が向かっていないときは 小説へ向けて心が向かっていないときは、エッセイに向かうことになるだろう。その時はいつも心に不安が渦巻いているときだ。なんとか状況を把握したいとしているのだろう。それは情況という心の裏をあらわしている。その…