ピエール・ルジャンドル『西洋をエンジン・テストする』

ピエール・ルジャンドル『西洋をエンジン・テストする』



 やっと読み終えたがほとんど分からず。分からずといっても、佐々木中『夜戦と永遠』で読んだはじめての出会いというほどのことでもないが、中味はほとんど入ってこない。ただし西洋のそれも西方のキリスト教が中世においてルジャンドル言うところの解釈革命という変革がおこり、それが今も続いているということが、少しだけ分かってきた程度のことだ。
 話は変わるが、かつてと言っても二年ぐらい前に、面白半分で現代思想をいわゆる言うところのビジネス理論で読み解くというものを考えて、読本のようなものを書いていたことがあった。しかしルジャンドルを読むと、それが可能なのはまことに180度反対の意味でありうることだと言うことが理解される。つまり逆に経営理論なんていうものが、実はキリスト教の変態であったのだ。むしろキリスト教そのものであったというわけだ。
 そのことが本当に分かるにはやはり主著『ドグマ人類学総説』を読まなくちゃいけないんだろうが、このむつかしい著作に挑む気力というものが今のところない。さしずめちょこっとづつ何度にもわたって、小著から接近していく以外にないのではないかと思っている。
 いちばんピンときたのは第二講演の「解釈という命法」であろうか。そしてフロイトの引用がよかった。おもわずそうだとうなずいた。
「文化の進展は個人の進展に類似し、同じ手段によって為される」(文化における居心地の悪さ)