糖質制限実施中その三
前回の森谷敏夫『結局、炭水化物をたべればやせる!』の続き。
炭水化物信仰は強くて、たとえば手近なものでいえば、毎回送ってもらっているメールマガジンの書評にもあった。
http://back.shohyoumaga.net/
[書評]のメルマガvol606
「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚/大友舞子」という人の「炭水化物の恩義を忘れている人必読!」
この書評では炭水化物の恩義を忘れるなと言ってこのように始まる。
「でもね、考えてもごらんなさい。日本は昔から豊蘆原瑞穂の国と呼ばれてて、
弥生時代の昔から稲作が行われてきて、それで栄えた国なわけ。(一説による
と、縄文時代からもすでに稲作は行われてきたらしいですが)。稲作、つまり
ご飯、お米=糖質をたっぷり食べて命をつなぎ、働いて、子育てをしてこの国
で生きてきたわけですよ。」
稲作2000年から3000年の歴史があって、その間食いつないできたのは米=糖質といっている。人類の過去の歴史で言うなら、ホモ・サピエンスが日本列島にやってきたのが3万8千年から3万年前のことになり稲作中心以前の時代のほうがずっとながいわけで、その間は魚をとったり木の実を取ったりして食生活を行っていたわけで、糖質を取るというのはめったにないごちそうだった。この期間の方がながくて、人類は糖質代謝より脂質代謝つまり脂肪酸+ケトン体を中心とするエネルギー代謝が自然なことだったはずなのである。
米を主食とするようになってからも過酷に体を使う時代は、糖質はすべて燃焼してしまうから問題ではなかったが、体を使うことが少なくなった現代人にとっては多すぎる糖は危険なのである。
江部氏は書いている
「人類700万年の歴史のほとんどは現代人のようには日常的に大量の糖質をとる環境になかったということ。だからこそ、体内で血糖値を下げるホルモンが、インスリンただひとつしか備わっていないのです」
こちらは700万年という古人類を含めているが、そうでなくとも現生人類のDNAでは糖の取りすぎは危険なことはまちがいないだろう。
もちろん、稲作によって安定して食料を確保したという事実はまさにその通りで、けっしてそれを否定するものじゃない。その恩義は確かにあるのだけれど、だからと言って糖質をどんどん食べろというのはおかしいのではないだろうか。もちろんどんどん食べろとはいっていないのだけれども。
この書評でもそこは微妙に言いまわしていて次のようだ。
「アプローチは違っても、
炭水化物を評価しているこの本に賛同するわけです。この本を読んでよかった
のは、はっきり言って炭水化物の価値はイマイチわからないままでしたけども、
★やはりダイエットは常に心がけるべき習慣
★日常生活でだらだらしないで動くことの大切さ
がわかったことでした。」
炭水化物を評価するこの本に賛同しながらも「炭水化物の価値はイマイチわからにままでした」とはっきり言っている。
ところでここまで糖質制限を主張していうのもなんなのだが、糖か脂質かという二者択一ではないだろうと思う。あれかこれかではなく本当はあれもこれもなのだ。ただ糖質制限が主張するのは糖質を制限しろということだけである。いろいろいいことばかり書いてあるが、それが本当かどうかそれはまだわからない。
エビデンス(科学的根拠)のしっかりしている研究が示した以上のことではないということだろう。
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