糖質制限食実施中 その2
- 作者: 森谷敏夫
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2016/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今回は、糖質制限食の真反対の『結局、炭水化物を食べればやせる!』という森谷敏夫の本の紹介、こちらも京都大学系で先回の江部康二と同じく1950年のうまれという奇しくも同じ年齢だ。おもしろいねぇ。
この本自体は運動をすすめるダイエットで、糖質オフに関係するのは第一章「糖質オフが危険なわけ」だけになってしまうが、そこになにが書かれているのかが関心事だ。
しかし、よく読んでみると、激論のような糖質制限批判ではなく、説得力にかける内容になっている。がっかり。
論点はムリやり探してみると5つになるだろうか。
A栄養学の常識に反する
B人間の安静時の代謝は糖質だ。
C糖質制限で2〜3kgすぐにやせるのは、グリコーゲンから水が外れた分だけ。つまり「水の泡ダイエット」だと
D炭水化物をとらずにやせると太りやすくなる。
E糖質オフでは筋肉がやせてしまうだけ
A,Bはこの10年ないし5年でもいいが、栄養学のコペルニクス的転回とでもいう常識が真反対になっていることがまったく考慮されていない。かつて黒だった脂質が白になった。それも科学的エビデンスを踏まえての脂質評価に代わっていることが理解されていない。痩せたければ、脂質を取れへとかわっている。そして糖をとるなと。人間のエネルギーの基本代謝は脂質代謝なのだ。どうしてもブドウ糖を必要としているのは、赤血球と網膜などの特殊な細胞だけだ。あの脳でさえ脂質の代謝物であるケトン体がエネルギー源になるという。
D,Eは糖質制限をやめたときのリバウンドがくるということを前提にしているらしいが、糖質制限食はもう一つの固定観念であるカロリー制限というものがない。だからそんなにつらくない。カロリーはどんどんとっていいのだ。(むろん、食べ過ぎはいけないけどね)また、古い栄養学にこり固まっている人には、つねにバランスのいい食事とすぐにいう。しかし、よほど暇な人でない限りそんなことは不可能だ。忙しい現代人にあっては悠長に食事できない。(さて、それにもましてバランスのいい食事なんてそもそもあるのか?)必要なのは極端に偏食しないことだけだ。
しかしながら、糖の摂取を減らした方がいいというエビデンス(証拠)はある。糖制限食はそれを言っているだけ。
Cは本当かどうか知識がないので宿題としよう。
ただし、グリコーゲンは正常70kgの成人で肝臓に72g筋肉に245g細胞外液10g、合計327gと手じかな本にあるから2〜3キロにもならないとおもうが?
およそそこのようで説得力のある糖質制限批判にはなっていなかった。そしてまた「炭水化物」と「糖」という言葉が混乱していて、ほぼ同じ意味に使っているらしいことは気になる。問題になるのは糖であって炭水化物ではない。炭水化物には食物繊維も含まれるので概念的に違う。制限するのは糖であって炭水化物ではない。
この話題もう少し面白いものを見つけたので続く。