本田直之『レバレッジ・リーディング』東洋経済新報社

本田直之レバレッジ・リーディング』東洋経済新報社

この本はビジネス書の多読の勧めで、たんに多く読めばいいというものではなくて、それを100倍の利益に結び付けようというものである。1500円の本は150000万円にする事なのだ。レバレッジというのは「バネ、やテコ」の意味でつまりはバネにして利益を稼ぎ出そうという読書のことをさしいう。もちろん、ビジネスをやっている人、又やろうとしている人が、読書によって、他人の経験値をちゃっかりいただこうというもので、その意味では本の読書というよりはレポートの多読である。読書がインターネットやコンサルタントのレポートよりいいのは、様々な違った意見が聞けるということ、又知識がまとまって提示されていることだという。編集者が著者との間に居るので、文章を整理し、分かりやすくしいること、現在における知識の位置づけをしてくれる事だ。
そこに至る読書は最低一日一冊読むことからことから始まって、様々な方法と可能となる時間を提案する。
おもしろいのは、よむのに時間制限を求めたり、読みたいところから呼んでいくというような方法で、これはビジネス書ならではの方法かもしれない。
わたしたちの読書とは違っているのかもしてないが、攻撃的に読書したり、時事の問題に見解を求められるライターなどはやはりこのような方法を取っているのだろう。そういえば日垣隆『すぐに稼げる文章術』でも年に3000冊の本を買うと言っていたっけ。
本という二次資料ではあるけれど、これから向かう仕事のおおまかな知識を言語でさきに得ておく事は意味があるという。
それに比べると、我等の読書は知識を得る目的でも、ビジネスでもないのであるから、多読の必要はないのかもしれない。単に知りたいという欲求からスタートしているので、分かるまで何度も何度も読んでいることがあるのでおよそレバレッジ・リーディングではないのかもしれない。でもこのような読書でも、ある日突然よく分かってくる読書の瞬間もあって、これがたまらなく楽しい。それがために読書という中毒になっているのかもしれないのだが。そのとき新たな世界が開けるのだ。
ともかくもこの多読、と精読という二つは確か大学のゼミでもやっていたように思うので、大切な事かもしれない。特に読む限りは100倍の利益を生み出すように読みたいものだ。