ついに7月に入ってしまった。
何も読んでいないわけではないのだが、なぜだかまとまらない。
例えば、佐藤正午『小説の読み書き』岩波新書だろうか。鈴木輝一郎も書いていたけれど、「なんだかなぁー」という気分だ。読むことは書き直す事というのは、分からない訳ではないけれどなにか少し違うような気がする。というよりも、そもそもが評論のように書いていないのかもしれない。同じ岩波新書高橋源一郎『一億三千万人のための 小説教室』では非常に評論的で分かりやすい。小説家だけれど評論風に書いているので、分かりやすいのか。
文字面上は日本近代の小説をあつかっているが、それも不遜に書き出しにこだわって、書き直そうとするのだが、明確な意志が見えてこない。なんだか古色蒼然とした古典ばかりなのでつまらないと思っていたが、これは小説の書き方の文章読本でもなければ、小説についての考えを述べたものでもない、つまりは小説そのものなのだと思って少し心が落ち着いた。ある人物でも恋愛でも葛藤でもないものを主題にした小説だと。
そう考えるとけっこう古典的な手法じゃないかと思う。でも考えすぎか。

もう一冊は柴田元幸『バレンタイン』新書館だ。この翻訳家として有名な柴田元幸が短編小説を書くのだ、というこをを知ったのは驚きだった。