parody+adaptation原作は何(1)

オリジナルはなんでしょう?
お遊びで考えてね。


ホームページ

私はホームページだった。

誰も訪れることのないひっそりと載ったホームページだった。ヤフーやニフティーにも登録していなかったし、プロバイダーにも登録していなかった。そんなホームページに訪問者がやってきた。一瞬にはちがいないが、立ち寄ってすぐに帰ってしまった。それから何年が過ぎただろう。検索エンジンを使った訪問者があらわれた。彼はくまなくホームページの内容を探索し、そして読んでくれた。見てくれた。そのコンテンツのよさ、そして整備された情報をなぞってくれた。もちろん都合のいいことだけで、よくないこと、かっこ悪いことを載せていない。しかしそれでも少し古典的ではあるが、けっこう品にいい優れたものに出来上がっていると思っていた。すっきりしたモノクロを基調としたデザインで統一されていた。インターネットの核心は「文字だ」という信念につらめかれていた。思わせぶりや、こけおどしではない、個人と個人をつなぐツールとしてのパーソナルコンピュータの初期概念を体現しているはずであった。それでも、いやそれゆえに訪れる人は少なかったのである。
この訪問者が、別れぎわにメールを残していった。
それに気づくのが遅かったというか、それをチェックしたとたんあの格調が高かったはずのホームページが見るも無残なレインボーカラーに変色してしまった。そして文字化け、そして内容を誇っていたコンテンツも偽りが混じりはじめた。時限爆弾のように刻一刻プログラムは作動している。あれっと思った瞬間、うかつにも電源を切ってしまった。
すべては消え失せそして跡かたも残らずに終ってしまった。
再開されたホームページはかってのものとは似てもにつかぬグロテスクなものになってしまった。
その身をさらしている。